厚生労働省保険局保険課長通知(R5.9.29)により、『一時的な収入の 増加がある場合には、これらに加えて、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な認定を可能とする。』ことが示され、その後、具体的な内容が示されました(R5.10.20)。
明らかにされた『年収の壁・支援強化パッケージ』を受けて、この度の措置の概要について、当健保の見解を含めて下記に示します。
1、いわゆる130万円の壁について
健康保険の扶養認定では、年間収入が 130 万円未満(60 歳以上または障害者の方は 180 万円未満)であること等が条件です。基本、従来からの扶養認定条件を変更するものではありません。
今回の措置は、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動により、年収が130万円(60歳未満の場合)以上となった場合に、事業主の証明によって、連続2回(2年間)までを上限として被扶養者の認定を可能とする時限的な措置です。
決して無条件で年間収入の条件が緩和されたわけではないことに、ご留意ください。
本措置の対象となる被扶養者は、配偶者(国民年金の第3号被保険者)に限らず、学生を含む社会保険の被扶養者です。
2、一次的な収入変動とは
人手不足による一時的な収入変動と認められる条件は次の通りです。
(1)パート・アルバイト等、被雇用者であること (⇒自営業・フリーランスは対象外)
(2)勤め先での人手不足による一時的な就労時間等の増加によるものであること
例)①他の従業員が退職したことにより業務量が増加
②他の従業員が休職したことにより業務量が増加
③業務の受注が増えたことにより業務量が増加
④突発的な業務量の増加
(⇒雇用契約書等による年間収入の見込み額が130万円以上となる場合や、時給の改定による増額、手当の増加による給与の増額は対象外)
↑厚労省HPより |
3、扶養認定時期について
当健保では毎年8月に 対象者群を変えながら、被扶養者の資格確認調査(検認)を行っていますが、令和6年度および令和7年度の検認では調査対象とする被扶養者を拡大して実施する予定です。
収入超過と判定される方については、この検認の機会に「事業主の証明書」等の提出を求め、 扶養認定の判断を行います。扶養認定にあたっては全ての提出書類を確認の上、総合的に判断致しますので、「事業主の証明書」の提出をもって必ずしも扶養認定されることにはならない旨、ご留意ください。
また本措置は令和5年10月20日(金)以降の扶養認定時に適用されるもので、それ以前の申請については遡及して適用されません。
4、「事業主の証明書」について
収入が130万円を超過した部分が、恒常的ではなく、事業主側の事情による一時的なものであることを勤務先の事業主が証明するものです。
↓ 証明頂く部分です。
↑厚労省HPより |
尚、本件は、健康保険における扶養の認定条件に関する措置であり、税制上の扶養とは無関係です。また、税制上の扶養と健康保険における扶養とは、収入の定義や審査対象となる収入期間等も異なる点も併せてご注意下さい。